大会目的
大会目的
コンピュータ囲碁の世界は、AlphaGo、AlphaZeroの登場により、人間のトップを超えるという一つの目標は終了した。しかし、囲碁というゲームは膨大な状態空間があり、人智を超えたAIは、人智だけでは到達しえなかった深遠なゲームに対する新しい知見を提供してくれています。
2007年より電気通信大学「エンターテイメントと認知科学研究ステーション」主催により開催されてきました「UEC杯コンピュータ囲碁大会」は、2017年3月の第10回大会をもって一区切りされ、囲碁将棋チャンネル主催という形で、「AI竜星戦」を2017年、2018年に開催されました。その間のコンピュータ囲碁の動向を見てみると、中国などでは毎年コンピュータ囲碁の大会が開催され、今なお人工知能研究のベンチマークとして機能し続けていることがわかります。
コンピュータ囲碁は現在のAIブームの一つの大きな火付け役であるとともに、このAI技術の限界や応用分野を考える上で、重要な研究テーマであると言えます。そこで、2019年より囲碁将棋チャンネルからバトンを受け継ぎ直し、電気通信大学の当研究ステーションが再び主催となり、UEC杯コンピュータ囲碁大会を開催することとなりました。2020年以降、COVID-19の大流行に伴い、大会継続が危ぶまれましたが、2021年3月の大会はオンラインで開催され、困難な状況にも関わらず20チームもの参加を集めて、参加チーム数も微増傾向にあります。上述のように、コンピュータ囲碁は最新のAI技術をもってしても、まだまだ解明し尽くすことはできない困難な課題であることが再確認されています。
本大会を通して、この困難な課題に挑み続けるとともに、人間を遥かに超えてしまったAIを人間の智を拡張する手段として応用させていく手法を考慮していくことも必要であると考えています。本大会を継続的に発展させて、こういった分野に寄与する研究開発に繋げていきたいと考えています。
2021年10月21日
実行委員長 伊藤毅志(電気通信大学)