電気通信大学エンターテイメントと認知科学研究ステーション特別企画
最新更新:2011年10月29日
主催:電気通信大学エンターテイメントと認知科学研究ステーション
共催:情報処理学会
協力:コンピュータ将棋協会、早稲田大学ゲームの科学研究所
協賛:株式会社ドワンゴ
*古作登氏、篠田正人氏の自戦記を掲載しました。(10月29日)
*コンピュータの思考ログ、前日のテスト対局の棋譜、ログも掲載しました。(8月3日)
*新聞等掲載情報も載せました。(8月3日)
☆古作 登氏 自戦記
☆篠田正人氏 自戦記
★第一局 「(先)人間合議● VS (後)Bonanza○」 (棋譜はこちらCSA形式 KIF形式) Bonanza思考ログ
(コメント)6五歩から盛り上がり、人間側が有望そうな展開もありましたが、Bonanzaの
評価値は、互角で推移します。Bonanzaの4五歩からの構想がなかなかでした。その後
は4四桂から人間側が踏み込み、華々しい交換がありましたが、形勢は互角だったよう
です。評価値が大きく動いたのは、59手目4二同角成、9一角成だったら、難しい形勢
だったようです。その後は、Bonanzaが的確に優勢を拡大し、勝利を収めました。(24日 13:10)
★第二局「(先)あから1/100○ VS (後)人間合議●」(棋譜はこちらCSA形式 KIF形式) あから1/100思考ログ
(コメント)矢倉に対して、7筋を突かない棒銀が人間側のコンピュータ対策の戦型でした。
中盤は、人間側がうまく指して、若干人間側有望な展開だったようです。66手目の6四歩
は感触の良い手でしたが、9六銀と指していたほうが、より良かったのではとのことでした。
77手目の5五飛をうっかりしていたようで、その後、コンピュータ側に大きく形勢が傾きまし
た。129手目の9七金など、コンピュータならではの手も現れ、そのままあからが勝利を
収めました。(25日 13:00)
○おまけ、、、
前日のテスト対局「(先)人間合議● VS (後)Bonanza○」(棋譜はこちらCSA形式 KIF形式) Bonanza思考ログ
(コメント)初手3八銀から右四間飛車。初手30手をすべて調べた篠田さんの研究の序盤。
Bonanzaは早々に定跡を外され、初手から定跡データベースを使えない展開に誘導された。
人間側好調で、61手目5五桂を指したときには、人間側が温泉気分になっていた。Bonanza
が底力を見せたのが、66手目8八角成!一気に温泉気分が醒め、一手差の勝負に。69手目
8六飛が緩手だったようで、ここでBonanzaは、7四銀打で自分の負けを読み切っていた。
Bonanzaの逆転勝ちの一局だった。
*ニコニコ動画上での対戦前の勝敗予想:アンケート結果集計!(7月24日 13:40現在)
−人間側から見て、以下の通りでした。
2−0:20%、 1−1:34%、 0−2:44%
−投票者の内訳は以下のとおり。
初心者:59%、 中級者上級者:13%、 上級者:13%、 棋力不明:9%
ニコニコ生放送で録画が見られます→詳細はこちらへ
<新聞等掲載>
−「アブストラクトゲーム博物館」に掲載されました。(7月27日)
−「週刊将棋」(8月3日号)に掲載されました。(8月1日)
−「朝日新聞」(8月2日夕刊)に掲載されました。(8月2日)
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日時:2011年7月24日(日) 9時50分開始予定
場所:電気通信大学 西9号館3階AVホール
<当日のタイムスケジュール>(予定)
9:50−10:00
対戦の趣旨説明と対局者紹介(伊藤毅志)
10:00−12:00
(第一戦)古作登氏&篠田正人氏 VS 「Bonanza」
12:00−12:20
感想戦:Bonanza(保木氏)の思考ログを交えて
※対局が長引いた場合、以降の予定が随時変更する場合があります
12:20−13:50
昼食休憩
13:50−15:50
(第二戦)古作登氏&篠田正人氏 VS 「あから1/100」*
15:50−16:10
感想戦:あから1/100(保木氏)の思考ログを交えて
16:10−16:40
対局を終えて、全体としての感想戦
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<対局条件>
今回の対戦は、コンピュータと人間の対局条件を厳密に統一するものでは
ありません。人間側のヒューマンエラーの起こりそうな時間的要因を極力減ら
し、力の出せる対戦条件において、コンピュータ将棋にどのように対戦できる
のかを見るものです。そのため、人間に有利な持ち時間の対戦となっていま
す。
1)持ち時間は、以下のとおりとする。
−コンピュータ側が25分、切れたら1手10秒。
(コンピュータ将棋選手権とほぼ同様の持ち時間。但し、時間切れ勝ちの
ような形の決着がつかないように切れ負けは無くしました。なお、コンピュ
ータの持ち時間はコンピュータ内部のタイマーを信用することにします。)
−人間側が1時間、切れたら1手3分。
(人間側の思考時間は、大まかに指し手を決定するまでの時間を計測し、
目安にする程度とします。これは持ち時間が少ないことによる人間のミス
を減らすことと、相談の過程を解説しながら対戦を進めることによる時間
経過を考慮したものである。)
2)千日手は、開始40分以内なら先後入れ替えて指し直し。40分以上は、
引き分けとする。
ただし、コンピュータの持ち時間は、持ち時間(残り時間)切れたら10秒。
人間側は、持ち時間残り時間、切れたら1手3分、但し、1分単位で合計
10回の考慮時間(あくまで目安)
3)勝敗は、基本は、人間側の投了もしくは、コンピュータの判断による投了
を優先するが、コンピュータ側はプログラマー判断の投了を認めることと
する。(持将棋模様の場合で、明らかに点数で負けている場合などは、コ
ンピュータ側は観客がだれないように、適当なところで投了を認めること
とする。)
4)人間側は、盤駒を動かして検討することを許す。
5)立会人は経験の豊富な松原仁氏(はこだて未来大学)に依頼する。つま
らない入力ミスやマシントラブルなどによる決着は本位ではないので、必要
な場合は、上記の勝敗判断を覆す勝敗判定(引き分けを含む)を下す場合
もあるものとする。
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参加:
無料・事前申込締切りました。
会場は、若干余裕があります。当日ご来場者も必要事項をご記入の上、入場を認めます。
趣旨:2010年「あから」は清水女流王将に勝利を収め、将棋倶楽部24では、コンピュータプログラムが
3200点というとてつもないレーティングを叩き出すなど、コンピュータ将棋は既にプロ棋士に肉薄してい
ると言える。このように、コンピュータ将棋は毎年着実に進化しているが、2005年に日本将棋連盟が
「プロ棋士との許可のない対戦の禁止」して以降、プロ棋士と対戦や棋力の比較は難しくなっている。
しかし、一方で、「稲庭将棋(切れ負けの選手権において、低く囲って争点を作らず、時間切れ勝ちを
目指す戦略)」のような手法を有力プログラムが打ち破ることができないなど、コンピュータ特有の歪な
強さについても指摘されている。このような観点から、コンピュータに精通していて強いアマチュアプレー
ヤーとの対戦は重要な意味があると考えている。
そこで、このイベントでは、アマチュアトップクラスで、しかもコンピュータ将棋にも造詣の深い古作登氏
と篠田正人氏に相談将棋で当代トップのコンピュータ将棋に挑む公開対局を企画した。コンピュータ将棋
の弱点を知り尽くしたお二人が事前に十分にコンピュータ将棋に対する対策を立て、秘術を尽くしてコン
ピュータに挑んだとき、コンピュータ将棋はどう戦うのか?
本対戦は、現在のコンピュータ将棋の実力を測る上で貴重なデータが得られる対戦になるばかりか、
将棋ファンにとっても非常に興味深い対戦になるだろう。
(企画、実行:伊藤毅志;E&C研究ステーション代表)
対局条件(持ち時間など):現在関係者間で調整中、、、
…人間側には、対局中思考過程を披露していただきながら対局を進めていきますので、人間
側に有利で、ある程度ルーズな持ち時間の設定を予定しています。
主催:電気通信大学エンターテイメントと認知科学研究ステーション
共催:一般社団法人情報処理学会
協力:コンピュータ将棋協会、早稲田大学ゲームの科学研究所
協賛:株式会社ドワンゴ
<対局者紹介>
★古作 登 氏
(大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員)
棋歴(略歴):
8歳で将棋を覚え16歳でアマ準王座、読売日本一決定戦3位、高校選手権(個人)優勝。
早大進学後、奨励会に入会し三段まで進む。同期に森内、羽生の現永世名人。
アマ棋界復帰後は「週刊将棋」編集長、NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会などを務める。
アマ全国大会出場多数。
著書「よくわかる将棋入門」(小学館)
古作氏のコメント:
「早指し将棋ではコンピュータは間違いなくトッププロ並みの強さです。ただし、今回はある程度
の持ち時間がありますし、人間側も合議でポカが減るでしょうから十分勝負になると自信を持っ
ています」
★篠田 正人 氏
(奈良女子大学 准教授)
棋歴(略歴):
11歳から将棋道場に通い、高校選手権団体優勝(岐阜高校)、16歳のときアマ名人戦岐阜県代表。
東大将棋部主将を務め、大学4年時に学生十傑戦優勝(学生王将)。
平成11年、アマ竜王戦全国優勝。他に全日本選抜、レーティング選手権での優勝歴あり。プロ公式戦通算1勝2敗。
コンピュータ将棋とはアマ竜王戦エキジビションマッチ(平成17年)、GPW杯などで対戦歴あり。
篠田氏のコメント:
「コンピュータ将棋の進歩は目覚ましく、すでにプロに追いつき追い越そうとしていますが
人間も知恵と対策次第ではまだまだ頑張れるところをお見せできたらと思います。
勝つ可能性を20%から30%へ、30%から40%へ少しでも引き上げる策を準備して臨みます。」
<対戦プログラム紹介>
☆Bonanza
(2011年世界コンピュータ将棋選手権準優勝)
戦績:
2006年 選手権初出場初優勝し、一気に注目を集める。
2007年3月 渡辺明竜王との対戦では、終盤勝機がある局面まで竜王を追い詰めるも惜敗。
2009年1月 ソースコードを公開し、Bonanzaメソッドが一気に広まる。
2007年選手権4位、2008年選手権3位、2009年選手権5位、2010年選手権5位
2011年選手権準優勝
マシン構成:
2011年選手権出場時と同じマシン構成。(CPU: Xeon W5690, Xeon W3680, Xeon 980X,
Xeon W3440, Corei7 L640 、プロセッサ数:17、総コア数132コア、メモリ300GB)
開発者(保木邦仁氏)のコメント:
「将棋プログラムに詳しいアマチュア強豪のお二人に Bonanza の弱点を積極的に狙って頂ける
とは、大変光栄に思います。現在のプログラムは未知の状況に対する対応が下手です。今回の
対局が、コンピュータ将棋のさらなる発展の足掛かりとなることを期待しております。」
☆あから1/100(あからひゃくぶんのいち) <ボンクラーズの代わりに急遽出場>
(2010年清水市代女流王将に勝利した「あから2010」のハードウエアをマルチコア1台にしたバージョン)
戦歴:
2010年10月 「あから2010」は清水市代女流王将(当時)を破る!
コンパクト版「あから1/100」は、公の場での対戦は無い。
マシン構成:
「激指」「Bonanza」「GPS将棋」「YSS」の4台による多数決合議。ソフトウエア部分は、あから2010
とほぼ同様(ソフトウエア部分のみ最新のものに置き換えることを検討中)。なお、ハードウエアは、
Intel Xeon W3680一台で構成予定。
合議アルゴリズム提唱者(伊藤毅志)のコメント:
「”合議アルゴリズム”の利点は、複数のプログラムの多数決によって手が決まるため、特定のコン
ピュータの癖が出にくいという点が一つ挙げられます。2010年のグリッドマシンは用意できませ
んでしたが、マルチコア多数決でも相応に強いことを確認しています。コンピュータ合議VS人間合議
の対戦は楽しみです。」
☆取材関係者へ
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☆その他イベント全般に関するお問い合わせ
こちらへどうぞ。
*「ボンクラーズ」は事情により、出場できなくなりました。(7月16日)
追補:「ボンクラーズ」は条件が折り合わず、主催者側の情報提供の求めにご協力いただけなかった
ため、大変残念ではありますが出場断念という判断になりました。対戦を楽しみにしていただいた
皆様には、深くお詫び申し上げます。なお、対戦まで時間がなく、窮余の策として「あから1/100」
を代替プログラムとして準備いたしました。急な求めに関わらず出場に向けて、快く準備にご協力い
ただきました関係者の皆様には、この場を借りて御礼申し上げます。(7月18日)